「いい加減、実践で領地経営の勉強です」
「「はい、バース先生」」
「では、この帳簿に不審な点はありませんか?」
俺は数字とにらめっこ。
「バース先生、これは横領ではありませんか?」
「何?!なんでもない帳簿を見せているはずなんだが……」
「うーん、確かにおかしいな。他年度と比較してみよう」
フィルは優秀だなぁ。
他の年度の帳簿を見ると、どうやら横領しているようだ。……証拠残すなよ。
「これは領地を管理している管理人が横領しているようですね。管理人しか帳簿書けませんし。実際に領地に行って確認しますか?」
「そうだな。それには母上の許可がいるかも……」
「―――いいわよぉ。」
鶴の一声と言うんだろうか?地獄耳?遠くの会話を聞いていたようだ。
こうして、俺とフィルとバースの3人は領地に行くことになった。
「机上では、農地に新しい農具が導入されているはずですね。しかしながら、どうでしょうか?この領地では鍬とかも研いでいるんでしょうか?」
「領地の管理人は何をしているんだ?」
俺は憤りを感じた。
「「横領でしょう?」」
俺の想いとは別の事実を2人は告げた。
「さて、どうしましょうか?」
「管理人は解雇しよう」
「それは浅慮というものです。この領地の情報を持っているものを外部に出すということです。あくまでも飼い殺ししなくてはいけません」
「「はぁ、なるほどねぇ」」
ところで、バースがいない本邸の経営は誰が?という疑問には、母上がするそうです。
豊かでない領地、嘘の帳簿。
「参ったなぁ。しかしよー。こんなに領地は困窮しているってのに、税金はきちんと納めてるってどこから金を捻出してるんだ?」
「金貸しでしょうね。悪徳でないことを祈りましょう」
「どうしてここまで領地が荒れたんでしょうか?」
「フィル、着眼点がなかなかいいですね。管理人が賭博にでもはまったんでしょう。数年は帳簿を誤魔化せた。しかし、今回フィルが見つけた。彼にしてみれば、見つけられた。ですかね?」
「荒れた領地は元通りにできるかな?」
「元がどのようなのかはともかくとして、これ以上の困窮は防ぎたいですね。さぁ、管理人に会いましょう」
「ようこそ、領地まで足を運んでいただき。最近の悪天候でしょうか?領地が荒れてしまって……」
「帳簿によると、最新の農機具を買ったということだが?」
「天候には敵いませんよ」
「単刀直入に